失踪とは家を飛び出して戻らないことですので、最も困るのが寝泊まりする場所です。失踪によって得た圧倒的な自由と引き換えに、私たちは自宅という安心して眠れる場所を手放すこととなってしまうのです。
私がかつて失踪を展開した際には宿泊場所として毎日ネットカフェで過ごしていました。そのために、ものすごい勢いで資金が減っていきあっという間に不安に苛まれたことを覚えています。探せばもっと割安なネットカフェや宿泊場所もあったのだということは、失踪を断念して帰還してから知りました。
本稿においては経験者たる私の知見を踏まえ「失踪中における宿泊・寝泊まりの場所7選」を紹介していくものです。
ビジネスホテル
宿泊費としては割高ですが安眠を得られます。毎日ホテルに宿泊していればさすがに資金が急速に減っていき、せっかくの失踪が短期間で頓挫してしまう可能性があります。ですが、極稀にならホテルに泊まってストレスや疲れを癒やすのもいいでしょう。
ホテルに泊まる際は名前を記帳する必要がありますが、本名を書いたからといって失踪生活に何の支障もありませんし、逆に偽名を書いても追及されることは殆どありません。
安上がりでゆっくり横になりたいという人にはカプセルホテルという手もあります。
ネットカフェ
ネットカフェは割安な宿泊手段における定番中の定番です。「ネットカフェ難民」という言葉が表しているのは、私たちがお金をかけずに、且つ、比較的安全が担保されながら寝泊まりできる最後の砦がネットカフェであるということです。
料金についてはピンキリですが、一つ言えることは地方都市よりも都内のほうが圧倒的に価格が安いということです。都内においては駅前にネットカフェが多く存在する上に2000円〜3000円程度で宿泊できます。それに比べ、地方都市においてはネットカフェに辿り着くまでに駅から数km歩かされた挙句にナイトパック6,000円という高額な料金設定だったことがあります。
私が実際に活用したのは長期滞在・ロングステイプランを導入しているネットカフェで、月額約23,000円で24時間出入り自由でした。一日1000円以下ですからコスパは抜群です。
同じく月額というところでは少し割高になりますがマンスリーマンションという手もあります。
ビデオ鑑賞
男性であればネットカフェの他にビデオ鑑賞のお店も宿泊場所としての候補のうちに入れることができるでしょう。比較的割安なお店もありますが、宿泊施設としての好みはわかれると思います。
居候
友人宅に住まわせてもらうことも候補のうちに入るかもしれませんが決しておすすめはしません。相手の事情もあると思うので特に長期滞在には向いていないでしょう。仲が良かったのにルームシェアをしたがために喧嘩別れしたという友人同士の例は枚挙に暇がありません。
ただでさえ価値観が違う故に喧嘩が勃発恐れがあるというのに、片方が居候の場合はお金の問題も絡んできます。やむを得ず居候を申し出る場合には礼儀を尽くし、下記のことに留意すべきです。
・滞在期間は長くて1週間以内にすること。
・生活費はきちんと支払うこと。一日あたり1,000円〜2,000円が妥当と思われるけれど、お互いに話し合って決めるのが良い。
関連記事:
友人宅に居候・泊めさせてもらう際の注意点
車中泊
クルマを所有しているのであれば車中泊が最もお手軽な手段です。自分のプライベート空間で眠ることができ、泊まるためのお金もかからない。ですが、車中泊にもメリットとデメリットが存在します。箇条書きでまとめておきます。
車中泊のメリット
・泊まるためにお金がかからない
・プライベートな空間である
・野宿よりも安全が担保される
・雨風がしのげる
車中泊のデメリット
・都内では無料でクルマを停める場所がないので、地方都市を生活の拠点にせざるを得ない
・車内は眠るには窮屈である
・クルマを所有していること自体にお金がかかるし、冷暖房や移動のためのガソリン代も上乗せされる
・事故や故障のリスクを避けることができない
・不審車として警察から職務質問をされる可能性がある
・エコノミークラス症候群のリスクがある
*
私は失踪当初は所有していた軽自動車で車中泊をしていましたが、どうしても窮屈に思えてきてストレスとなってしまい数日後にネットカフェでの宿泊に移行してしまいました。
野宿
ホテルへの宿泊とは真逆の環境、それが野宿です。ホテルは高額なお金がかかるけど、プライバシーや安全・安心が保証されます。しかしながら野宿は全くお金がかからないけれど、プライバシーはゼロで安全面も保証なし、安眠できるかどうかはその人の神経の図太さ次第となります。
とは言え、野宿が無謀な行為であり、お金のない人がやむを得ず行き着く行為であるというのは誤解です。『野宿入門』(かとうちあき、草思社文庫)においては、著者には帰る家があるというのにわざわざ近くの公園で野宿をしたり、終電を逃して野宿をする羽目になるならと最初から野宿スタイルで寝袋に入ったまま公園で飲み会を開催するなど、楽しい野宿のすすめが記されています。
そう考えれば、野宿も立派な宿泊手段としての選択肢に入ってくるでしょう。
住み込みで働く
一石二鳥とはこのことを言うのでしょう。住み込みで働ける仕事を見つけることができれば、確固たる宿泊場所を確保できる上に給与まで受け取ることができます。有名どころでは新聞屋でしょうか。その他、製造業、建設業、サービス業など、寮付きで住み込み可能な仕事は意外と多いように思いますが、失踪者でも住める職場となると選択肢が狭まるように思います。ちなみに、『失踪日記』(吾妻ひでお、イースト・プレス)においては失踪した著者がガス屋に住み込みで働く描写があります。
あるいは『完全失踪マニュアル』においてはリゾートバイトが紹介されています。季節限定にはなりますが、住み込み可で三食付き。短期間でガッツリ稼ぎたい人向きである他、リゾートバイトを転々として暮らしている人もいるようです。
コメント