失踪せずに安心して社会から2年間逃げる方法 ―傷病手当金を受給してドロップアウトする方法

失踪せずに会社から逃げる方法 ―傷病手当金を受給して1年半ドロップアウトする

 失踪は最終手段であると私は考えています。しかもそれは多くの場合、計画的になされるものというよりは衝動的になされてしまうものでしょう。私もストレスが極限まで達していたある日、たまたま寝坊をしてしまったことがきっかけとなって「逃げなければ」という衝動に駆られてしまい、失踪生活に突入することとなりました。

 私にとって2ヶ月間の失踪は良いリフレッシュ期間になると共に、自分を見つめ直す機会にもなりました。沢山の人に心配と迷惑をかけたので、徒に「あの失踪があったから今の自分がある」なんてことは声を大にしては言えませんが、長い人生にそういう時間があってもいいのではないかと思います。

 ただ、失踪するとなると前述の通り心配と迷惑をかけることになります。これが失踪の唯一にして最大のデメリットです。本稿においては傷病手当金を利用することによる失踪に代わるパーフェクトな代替案を提案するものです。

 

はじめに:敢えて失踪する必要はない

 失踪の目的を「長期休暇」と捉えるならば、わざわざ失踪なんて大々的なことをする必要はありません。私たちは誰にも文句を言われずに、計画的に、1ヶ月からの長期休暇を取得することができます。つまり、それは「うつ病との診断を味方に付ける」ことです。

 この方法の秀逸な点は社保に入っていて条件が満たされれば「給与の2/3の額を傷病手当金として最長18ヶ月に渡って受給できる」というベーシックインカムさえ保障されていることです。この傷病手当金は退職してしまっても変わらずに受給できるという優れもの。

 長期休暇を獲得するなら、衝動的に失踪するよりも計画的にうつ病との診断を受けたほうが合理的です。第一、失踪してしまいたいという精神状態は尋常ならざるものであり、殆どうつに陥っているとみなしても過言ではないでしょう。疲れてしまっているのです。

 私は失踪も経験しましたが、後に上述の方法で傷病手当金を受給していたこともあります。下記において詳しく見ていきましょう。

 

傷病手当金とは?

 社会保険に加入している被保険者(私たちのこと)が病気や怪我で仕事を休んだ時に賃金の保障を受けられる制度です。条件を満たせば給与の2/3の額(直近給与3ヶ月分の平均金額から算出)が最長18ヶ月間支給されます。

 就労中の怪我は労災扱いになりますので、傷病手当金は労働時間外に発生した病気や怪我が対象になります。但し、うつ病などの精神疾患によって就労できない場合、たとえそれが仕事が原因だったとしても傷病手当金の管轄内となります。つまり、受給が可能です。

 

傷病手当金の受給要件

 傷病手当金の受給要件について、重要なポイントを列挙していきましょう。

 
・社会保険の被保険者であることが絶対条件です。国民健康保険には傷病手当金制度はありません。

・社会保険に加入してから1年以上経過していること(退職後も受給する場合)。

・医師による「就労不可」との診断があること。

・休養期間に給与を受け取っていないこと。

・被保険者期間に当該傷病において4日以上連続で休んでいること(公休日含む)。

 

傷病手当金受給の戦略とステップ

1. 精神科・心療内科を受診する

 傷病手当金受給には医師の診断書が必須ですので、通院しないことには始まりません。精神科や心療内科というと何やらおっかなくて足を踏み入れづらい印象があるかもしれませんが、そんなことは全くありません。私も初めはかなり足踏みしましたが、思っているようなカオスな場所ではなく普通の人も多く通院していました。

 最短で傷病手当金受給生活に入りたい場合、病院の先生に初診時に「とにかく職場がつらい。このままでは自殺しかねない。診断書を書いて欲しい」といきなり頼み込むというのも手です。医師としてもそれを断って本当に自殺されたら困りますし、診断書を書くことによって病院の収入にもなりますから断る理由はありません。もし断られたら別の病院に当たりましょう。そうやって診断書を書いてもらった患者さんなど山ほどいます。

 今すぐに傷病手当金を手に入れなくても良いという人は、定期的に通院して医師と信頼関係を築いた上で、いざという時に「もうだめみたいだ」とこぼして診断書を書いてもらうのも良いでしょう。あるいは「会社に行けなくなった。今、無断欠勤して病院に来ている」と言うのも有効でしょう。

 いずれにしても、診断書を書いてもらうことはそれほど難しいことではありませんので、気負う必要は全くありません。

 

2. 会社を4日以上連続で休む(公休日含む)

 恐らく書いてもらった診断書には「抑うつ状態のため1ヶ月の休みを要する」等の記述があるはずです。つまり、あなたは「うつ状態」であると公文書によって診断されたということです。これは大きな盾になります。これさえあればこっちのものです。

 次にすべきことは、その診断書を会社に提出し、とにかく「会社を4日以上連続で休む」ことです。その4日目から傷病手当金を受給する権利が得られます。但し、傷病手当金を受給するためには会社から休んだ日の給与を受け取っていないことが要件となります。

 4日以上連続で会社を休むことは公休日も含まれますから、例えば「土・日・月(祝日)・火(平日)」と休んだとしても4日以上連続としてみなされ、火曜日からが支給対象となります。優しい制度です。

 

3. 傷病手当金申請書類の書き方

 傷病手当金受給のためには申請が必要になります。給与のように自動的に振り込まれるものではない点に注意しましょう。規定された書類(健康保険傷病手当金支給申請書|協会けんぽ)に必要事項を記入して、管轄の健康保険組合に郵送で提出します。

 医師の意見を書いてもらう欄もありますので、かかりつけの医師に「就労不可」の旨を書いてもらいましょう。診断書を書いてもらっているのであればすんなりと書いてもらえるはずです。書類に不備がなければ3週間ほどで受給決定通知が郵送され、指定口座に傷病手当金が振り込まれます。

 申請する際、特に会社には何も断る必要はありません。勝手に書いて勝手に協会けんぽに申請して構いません。私は最長の18ヶ月間に渡って傷病手当金を受給したのですが、一ヶ月ごとに申請書を提出していました。

 

4. 出勤するか、退職するか

 仮に、診断書に「1ヶ月の休養を要する」と書かれていたとしましょう。で、一ヶ月後出社するかどうかは完全にあなた次第です。出勤したいなと思ったらすればいいのであり、嫌だなと思ったらそのまま休んでいればいいのです。休み続ける場合、会社から何らかの連絡が来ると思いますが、適当にあしらっていればいいでしょう。

 ただひとつ確かなことは、要件を満たしていればこのまま出社せずとも、退職してしまっても18ヶ月(1年半!)に渡って傷病手当金をもらい続けることができるということです。

 ちなみに私は、そのまま休み続けて半年後に解雇されました。会社都合退職になっていたのでラッキーだと思いました。

 

5. 退職しても傷病手当金を継続受給するための要件

 傷病手当金の奇跡的な点は「退職しても最長で1年半に渡って受給し続けることができる」点です。但し、それには幾つかの要件があります。

1. 退職日に出勤していないこと

 退職日に就労不可であることが絶対条件です。ついうっかり「最後の日くらいは会社に貢献しよう」なんて出勤してしまうと全てが水の泡です。これは非常に肝要なことであるので、退職日には会社に荷物を取りに行くなどの些細な行為も避けるようにしましょう。とにかく退職日には家でおとなしくしていることです。有給休暇で休むのが賢明です。

2. 退職日前日までに傷病によって3日以上連続で休んでいる実績があること(公休日含む)

 退職日前日までの任意の日取りで3日以上連続で休んでいることです。前項において「4日以上連続で傷病によって休む」が実行されていることと思いますので、クリアされているはずです。

 前項では「4日以上連続」だったのになぜここでは「3日以上連続」なのかというと、傷病手当金は連続欠勤4日目から支給対象となるためです。在籍中に3日連続で休んでいれば、退職後の最初の一日が4日目としてカウントされ、継続給付されるというわけです。

3. 退職日までに社会保険の被保険者期間が継続して1年以上であること

 社会保険に1年以上加入していることです。正社員で入社1年以上であれば問題ないでしょう。

 但し、1日のブランクもあってはなりません。それはつまり、「社会保険の加入期間が1年以上」であることが条件であり、1年以内に転職していたとしても社会保険が継続してさえいれば問題ないということです。「健康保険協会加入期間」と「健康保険組合加入期間」は通算できます。

 また、「共済組合」「任意継続被保険者」「国民健康保険」には傷病手当金給付制度はありませんので、対象外となります。

4. 退職日以降も就労不能であること

 傷病手当金は働けない人のための所得保障であるため、傷病手当金の申請の度に医師に「働けない」との意見を書いてもらう必要があります。が、基本的に惰性です。一度書いてもらうことができればそのまま継続して書いてくれます。それによって病院の収入になるからです。

 以降18ヶ月は「通院→傷病手当金申請→通院」の繰り返しとなります。のんびりと過ごしましょう。

 

退職後にすべきこと

1. ハローワークにて失業手当の給付延長手続きをする

 失業手当と傷病手当金は同時に受給できません。なぜなら失業手当は就労可能な人のみに給付されるものであり、傷病手当金が給付されているということは当該人は就労不可であることの証左であるからです。

 従って、ハローワークにおいて失業手当給付延長の手続きをします。「延長」と言っていますが給付期間が伸びるわけではなく、ニュアンスとしては「延期」です。「今は働けないので失業手当はまだ要りません」という手続きです。

 退職日の翌日から2ヶ月以内の手続きが求められますので、離職票が手元に届いたら速やかにハローワークに赴きましょう。手続きをしないと傷病手当金受給期間終了後に失業手当をもらえなくなってしまいます。

 

2. 国民健康保険、市県民税の減額申請をする

 国民健康保険と市県民税は無職者の家計を逼迫する恐ろしい存在であると思われがちですが、役所において「無職なので収入がない」と申請すれば大幅に減額してもらえます。減額申請しないメリットは何一つありませんので忘れずに速やかに役所に赴きましょう。こちらから申請しない限り減額されません。

 

3. 国民年金の免除手続きをする

 国民年金についても減額・免除申請をすることができますが、こちらは将来の年金支給額に影響が出るので家計と相談して全額払うか、免除してもらうかを決めましょう。無職であれば免除申請が十中八九通ります。

 免除申請せずに支払わないと「未納」扱いとなり、様々なデメリットがありますので、同じく払わないのであってもきちんと申請し「免除」としてもらうことが賢明です。

 また、過去に遡って納付することも可能ですから、将来的に家計に余裕ができた時に減額・免除分をまとめて納付するのが良いでしょう。国民年金については納めた分以上のリターンが国によって保証されていますから、納めないと損です。

 

傷病手当金受給期間終了後、どうするか?

 1年半というのは意外とあっという間です。傷病手当金という奇跡のベーシックインカムはどう頑張ってもそれ以上もらい続けることができません。

まずはハローワークに行こう

 延長(延期)手続きをしていた失業手当を受給開始するためにハローワークに赴きましょう。その際、窓口で「働ける状態にありますか?」などと聞かれますから「はい」と答えましょう。事務上の問答であり、ここで「はい」と答えないと失業手当はもらえません。

 おおよその場合、受給期間は90日でしょう。3ヶ月はあっという間です。

 

悪あがきとしての公共職業訓練

 まだ働きたくないという人はハローワークの窓口で「公共職業訓練を受講したい」と申し出てみましょう。職業訓練には「一般職業訓練」と「公共職業訓練」とがあり、ハローワークが斡旋するのは後者の「公共職業訓練」です。

 私も傷病手当金受給期間終了後に公共職業訓練を受けました。多くのメリットが存在しますので非常におすすめです。そのまま慌てて就職してしまうのは非常にもったいないです。下記のようなメリットがあります。

 
・公共職業訓練終了まで失業手当が給付され続ける

・再就職のためのスキルや自信を身に付けることができる

・失業者だけが集まるので心が落ち着く

 
 私が受講したのは主に事務系のパソコンスキルを取得するもので、6ヶ月コースでした。3ヶ月コースも募集されていましたが、せっかくなら失業手当を長く貰ったほうが得だと思ってそちらにしました。

 選考は面接のみ。公共職業訓練は場所によっては倍率が非常に高く狭き門となっている印象ですが、私が受けたところはド田舎だったためか逆に定員割れしていました。

 
 こうして私はおよそ2年間殆どニートのような毎日を過ごしていました。公共職業訓練終了後は万策尽き、仕方なく就職しました。

 
関連記事:
失踪後の再就職・社会復帰についての解説と体験談

 

障害年金を受給するという手も

 他、どうしても働きたくない場合、障害年金を受給するという手段もあります。簡単に言えば、受給要件は「年金を納めていること」「医師の診断があること」ですが、この医師の診断が傷病手当金とは比べ物にならないほどハードルが高そうだと思い、私は手を出しませんでした。

 障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金|日本年金機構

 
 但し、私の友人にはこの障害年金を受給しながら個人事業主として働いている者もおりますので、チャレンジしてみる価値はあるかもしれません。最も軽度の3級に認定されれば月々約6万円を受給することができます。

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