失踪する際、まず初めにすべきことは自宅に「失踪宣言書」を残しておくことです。
失踪宣言書は公的文書ではありませんから、法的に何の効力を持つものでもありません。いわば、単なる「書き置き」のことです。ですが、失踪宣言書が残されているのといないのとでは、両親、友人、警察などの周囲の人間の対応が変わってきます。
本稿においては失踪宣言書の書き方とその目的について紹介していきましょう。
失踪宣言書を残す目的 ―自分の意志で失踪することを明らかにしておく
失踪宣言書を残す唯一の目的は「事件に巻き込まれたのではなく自分の意志で失踪することを明確にするため」です。
警察は事件性がない限り積極的には動かないので、失踪宣言書があろうとなかろうと単なる一個人の失踪については殆どの場合、捜査・捜索は行われないでしょう。特に社会人であれば尚更です。
ですが、人は万が一を考えるものですし、事件性があるかないかは第三者が判断すること。自分の意志による失踪だったとしても警察が積極的に動いてしまい、公開捜査が展開されてしまう可能性が全くないわけではありません。
また、残された家族や友人にとっても「事件に巻き込まれて今どうなっているのかわからない」という状況は不安の極致です。それを和らげるためのせめてもの優しさという意味で「自ら進んで失踪する」旨の意志を表明しておくことは決して無駄なことではないでしょう。
失踪宣言書が残されていることにより自発的な失踪であることが明らかになるので警察への捜索願は受理されません。何に追われることなく安心して失踪生活を送るためにも、失踪宣言書を残しておくことはベターな選択です。
失踪宣言書の書き方
失踪宣言書に必ず書くべき要件は3つあります。決して難しいことではありません。
1. 自分の意志で失踪することを記す
ここが要点です。事件に巻き込まれたり第三者に強要されたりするのではなく、自分の意志で失踪することを明確にします。
2. 自殺をするつもりはないこと、必ず帰ってくることを強調する
残った人の不安を軽減させるためです。戻ってきた後の社会復帰が容易になる可能性もあります。
3. 日付、名前を記入
「誰が」「いつ」失踪したのかが明記されていることで信憑性が高い文書になります。
失踪宣言書の例文
上記の要件が満たされてあれば失踪宣言として信頼に足るものとみなすことができます。長々とした文章をしたためる必要はありませんし、何らかの感情を込める必要もありません。下記に例文を示しておきます。
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1ヶ月間失踪します。
必ず帰ってきますので心配しないでください。
○○年◯月○○日 失踪太郎
*
たったこれだけで良いのです。書くにあたって気負う必要は全くありません。
失踪宣言書を書くにあたっての注意点
自筆で書く
自分の意志で失踪することを本意として訴えるためにも自筆で書くことが要請されます。パソコンで書いてプリントアウトしたものだと第三者が作成した可能性が疑われてしまうので、せめて署名だけでも自筆で書きましょう。
何に書いてもいい
失踪宣言書を書くにあたって必ずしも家にA4の白紙や原稿用紙があるとも限りません。ですが、優先すべきは失踪宣言を残しておくことです。綺麗な紙に書く必要はありません。ダンボールの切れ端でもチラシの裏側でも何でも良いので、自分の意志で失踪する旨を書いて置きましょう。
誤解のないように書く
「探さないでください」や「さようなら」など、誤解を生み不安を増幅させるような言葉は書かないようにしましょう。何のメリットもありません。
目立つところに置いておく
作成した失踪宣言書ですから読まれなくては意味がありません。整理された机の上など、すぐに目につく場所に置いておきましょう。
*
ちなみに、私の2ヶ月間の失踪生活は寝坊をしてしまったことがきっかけで衝動的に始まったので失踪宣言書は残していませんでした。ですが、恐らく事件性はないと判断されたのでしょう、特に積極的に捜査をされている様子はないまま、安心して身を隠していられました。
家出人・行方不明者の8割〜9割は積極的な捜査対象にはなりません。失踪宣言書を残してこなかったからといって過剰に心配する必要はないと言っていいでしょう。
コメント
帰るつもりがない場合でも、必ず帰らなければならないことを記さなければならないのでしょうか?
失踪宣言書には「騒ぎを大きくしない」という目的があります。「帰るつもりがあるかどうか」というよりは「騒ぎを大きくしたいかどうか」によって失踪宣言書を書くべきかどうかが決定されます。
帰るつもりがないならそもそも失踪宣言書を書く必要がないかもしれません。但し、失踪宣言書を書くことによって「騒ぎを大きくしない」ことで何らかのメリットがあるなら、書いてもいいかもしれません。