失踪する前の準備の中に「仕事を退職しておく」ことは重要な要件として含まれますが、人の心はそのように「退職→失踪」と合理的に判断・行動できるようにはできていないものです。
本来であれば準備として「退職→失踪」とすべきなのはわかっているのですが、私を含め、殆どの場合「失踪→退職」となってしまいがちです。私は2週間の無断欠勤という事由で懲戒解雇と相成りました。
本稿においては失踪における退職・懲戒解雇の考え方や一連の流れについて説明していくものです。
なぜ人は仕事に悩んで失踪するのか
仕事に悩んだ末に失踪してしまう大抵の場合は、どうしたらいいかわからなくて失踪という防衛行動を起こしてしまうためと考えられます。すなわち「仕事を辞めるわけにはいかない vs 仕事のストレス」が頭の中で終わりなき抗争を繰り広げている間にもストレスや閉塞感は募り続け、最善の判断ができなくなった末に自分を守るために失踪という逃避行動に至ってしまうのです。
私も「仕事は嫌だけど責任を持ってやらなければならないし、第一、辞めたら生活できなくなる。かと言って転職もうまく行きそうにないし、行動力もない」と悶々と一人で考え続けた結果、ある朝、寝坊をしてしまったことがきっかけで「もうだめだー」と何故か思ってしまい、クルマで会社を通り過ぎて2ヶ月間失踪、二度と出勤することはありませんでした。
無断欠勤で懲戒解雇される条件 ―就業規則に従う
懲戒解雇というのは法律で決まっている事象ではなく、各企業が独自に作成する就業規則の中に規定されているものです。前述の通り私は失踪2週間目で懲戒解雇されたわけですが、それは会社の就業規則において「14日以上連続の無断欠勤は懲戒解雇とする」とはっきりと銘記されていたからに他なりません。
従って、どのくらいの失踪期間で懲戒解雇となるか/ならないかについては一概に言えるものではないと言うところが実情です。私が現在勤めている零細企業においては「3日連続の無断欠勤で解雇」との記述があります。
一般的には「14日連続の無断欠勤」で懲戒解雇とされるところが多いのではないかと感じています。
余談ですが、この就業規則については失踪中の私は全く知らなかったのですが、思い返せば、失踪後2週間程度まではありとあらゆる手を尽くしたが如く上司や同僚から嵐のように私の携帯電話に連絡が来ていたものの、2週間を過ぎると連絡はピタッと止まりました。
私に連絡をくれていた人たちは私を懲戒解雇にしないために嵐のように連絡をくれていたのであり、私はそれに全く応じず黙殺し続けて2週間が過ぎ、懲戒解雇の対象となってしまったので誰も私に連絡をする理由がなくなったからピタッと止んだのだと考えることができます。
1ヶ月以上の無断欠勤でも懲戒解雇されなかった同僚の例 ―うつ病との診断が理由か
かつて私が「2週間の無断欠勤で懲戒解雇」された会社において、1ヶ月以上連続で無断欠勤していたにも関わらず解雇されなかった社員の例がありました。ずっとホテルに篭っていたそうです。
なぜ彼は解雇されなかったのか。はっきりとした理由はわからないのですが、推測として当該社員が「うつ病」との医師の診断を過去に受けたことが原因ではないかと考えられます。その無断欠勤がうつ病によるものであるとすれば会社にとっても解雇しづらい何らかの理由があったのではないか、ということです(解雇された腹いせに「長時間労働のせいでうつ病になった」と訴えられないため、など)。
それなりに大きな会社でしたから、その「解雇されなかった」理由は感情論によるものではなく、論理的・合理的なものによるとみなして間違いないでしょう。ただ、別の会社で聞いた所によれば、うつ病と診断された社員が医師の診断書と共に1ヶ月間の休養を申請し、取得されたものの、1ヶ月を過ぎても何の音沙汰もなく、結局4ヶ月後に解雇したという例もあります。
従って、「うつ病との医師の診断があれば、解雇されにくい(のではないか)」という推論が導き出されます。ただ、これは就業規則に銘記されているわけではないし、法律に記述があるわけでもないので、あくまでも推論です。
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