失踪の最大の目的は見つからないことです。失踪は例えば「彼氏と喧嘩して何も持たずに家を飛び出した。悪いのはこっちだとわかっているけど、優しく追いかけてきて欲しいな☆」みたいな甘い物語ではありません。
精神的に追い詰められ、生きるか死ぬかという極限状態でやむなしに発動されるのが失踪です。見つからないのが最善の選択かどうかは別として、本稿においては失踪者本人の意志を汲み、失踪の経験者たる私が「失踪中に見つからないためにできる5つのこと」を解説していくものです。
1. 失踪宣言書を残しておく
これから失踪を企図しているのであれば、自宅に「失踪宣言書」を書き残しておくことによって「自らの意志で失踪する」旨を表明することができます。警察は自らの意志で失踪したことが明らかである者に対しては本人の自由意志を尊重するため、捜索願は受理されず、積極的な捜索は行われません。
つまり、失踪宣言書を書き残しておくことによって、何にも追われることなく失踪をし続けることができるということです。
失踪宣言書の要件は3つあります。
1. 自らの意志で失踪すること
2. 自殺の意図はなく、必ず帰ってくること
3. 自筆での署名・日付
これを踏まえて、下記に例文を示しておきます。
*
数ヶ月ほど失踪します。迷惑かけますが、必ず帰ってきますので心配しないで下さい。
〇〇年○月○日 失踪太郎
*
これだけでも立派な失踪宣言です。全く難しいことではなく、堅苦しく考える必要はありません。
ちなみに、現在失踪中で失踪宣言書を残してくるのを忘れてしまったという人もいるでしょうけれど、それはそれで問題ありません。現に私は失踪宣言書なんてものは知らずに誰にも何も言わずに2ヶ月間失踪していましたが、警察が動くこともなく何の問題もありませんでした。
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2. 携帯電話(スマートフォン)のデメリット
失踪中における厄介な事象に携帯電話があります。それは下記2点に集約されます。
1. 家族や知り合い、職場から連絡が山のように来ること
誰にも何も言わずに仕事を放棄して失踪した場合、まず職場の人間が不審に気づき電話がかかって来るでしょう。あなたが出ないとなれば家族にその旨の連絡が行き、家族からも連絡が山のように来るでしょう。その他、同僚や知り合いなどあなたの失踪に気づき心配した人から嵐のように連絡が来ます。
まず、そんなにたくさんの着信やメッセージが来るといちいちうるさいということが挙げられます。そして次に、失踪の意志が揺らぐことが懸念されます。
スマホは検索ができて地図にもなるので失踪者にとっては大変に便利なツールなのですが、失踪においてはスマホは置いておくのがセオリーであるとされています。あるいは、SIMだけ抜き取って家に残していき、失踪先で新規でSIMだけ購入するということもできます。そうすれば電話番号が変わるために電話がガンガンかかってくることもありません。
2. 基地局情報によって居場所が特定されるかもしれないこと
特異家出人(事件性の疑われる失踪者)として警察の捜査対象になっている場合、所有の携帯電話(スマホ)が通信している基地局情報によって居場所が特定される可能性があります。うっかりGPSをオンにしてしまっていればさらに詳細な情報を取得させることにもなるでしょう。
但し、これは前述の通り事件性が疑われる場合のみ。自らの意志で失踪していることが明らかな場合には警察は捜査対象にしないので、通信会社に情報公開が求められることもありません。
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3. 車上生活はリスクが大きい
主要道路や高速道路に設けられている「Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)」は通過した自動車のナンバーを読み取ることによってデータベースと照合、手配車両の通過に対してリアルタイムでアラートを報じることができると言われています。また、通過車両はデータとして蓄積されており、刑事裁判における証拠としてNシステムが用いられた例もあります。
前項におけるスマホと同じく、捜査対象としての特異家出人についてはNシステムでナンバー照合される可能性もありますが、自分の意志で失踪していることが明らかな場合には優先的な捜査対象にはならず、従ってNシステムは機能しないように思います。ただ、Nシステムについては明らかにされていないことが多いので詳しいことはわかりません。
自動車で失踪する場合におけるリスクは他に「事故・故障のリスク」「不審車として職務質問されるリスク」があります。いずれにしても警察のお世話になる可能性が高く、身元確認をされることになります。
クルマは自由で良いのですが、失踪生活の共としては脆弱な点もあることを覚えておきましょう。
4. 職務質問を避ける技術
失踪生活において敵は己の意志のみですが、最も厄介なのは「警察」であることは言うまでもないことでしょう。特に失踪中であれば昼間から目的なく街をふらふらし、身なりはそれなりに汚れ、大きな荷物を抱えてと、不審人物以外の何者でもなく周囲には映りがちです。警察は不審な人物に積極的に声掛けを行います。
別に職務質問をされたところでどうってことはありません。警察が失踪者の身柄を確保して自宅に強制送還することは決してありませんし、失踪者は犯罪者ではありません。ですが、いちいち職務質問をされてしまうことは面倒な事態であることには変わりありません。
職務質問をされないためにはとにかく「目立たないこと」です。特に下記4点は重要ですので覚えておきましょう。
1. 夜中に出歩かない
2. 清潔な身なりを心がける
3. 警察官やパトカーと遭遇しても挙動不審にならない
4. 犯罪行為をしない
5. お金に関する3つの知識
ATMの使用は居場所が特定され得る
ATMで現金を引き出すことによって、警察に捜査されている場合、大まかな居場所が特定される可能性があります。また、定期的に現金が引き出されている事実を通帳閲覧者に示すことによって、失踪者が生存していることを示すことになります。
クレジットカードは使用しない
失踪中のクレジットカード使用は全く推奨されません。利用明細書によってどこで買い物をしたかが一目瞭然だからです。
お金との付き合い方
失踪中の最大の悩み事はお金です。黙っていても得られる副収入があったり、コンクリートジャングルの上で強く逞しく生き抜く知恵と行動力を持ち合わせていれば話は別なのでしょうけれど、大抵の場合、減っていく貯金残高を眺めながら暗澹たる不安に苛まれるか、最初から所持金を持ち合わせておらず絶望してしまうかのどちらかであると思います。
失踪生活をできるだけ延命させるためにはお金と上手に付き合うことが要請されます。なるべく節約をすることによってお金を激減ではなく漸減させ失踪期間を引き伸ばすことは有効な戦略ですし、時には収入を得るために何らかの仕事をすることにもなるかもしれません。
衝動的に始まった失踪だとしても、失踪期間が長引くにつれて計画に重きが置かれるようになってきます。無計画では借金を背負ってしまったり、犯罪行為に走ってしまったりしかねません。私は結局は貯金が日々目に見えて減っていくことに恐れをなして2ヶ月で失踪は断念してしまいました。
どのような失踪生活を繰り広げ、どのような失踪の終焉を迎えるのかは結局はお金が鍵を握っていると言っても過言ではありません。
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