クルマを所有している人であれば、失踪するにあたって自家用車に乗って行動を開始するでしょう。私もかつて2ヶ月ほど行方をくらませてた際にも、家を出ると当たり前のように自動車に乗り込んで遠い場所へと向かいました。
ですが、1週間経った頃、私は自家用車を手放して電車&徒歩での行動に切り替えました。田舎の無料でいつまでも停めておける駐車場に放置したのですが、それはクルマでの失踪が意外と窮屈に思えたきたからです。
私の実体験を元に「自動車で失踪生活を続けるメリットとデメリット」を紹介していきましょう。
自動車で失踪生活を続けるメリット
行動範囲が広い&速い
クルマがあることによる最大のメリットは行動範囲が広がることと迅速に行動できることです。特に初速の秀逸さは飛び抜けていて、自宅にて「失踪するぞ!」と心に決めた3分後には数km離れた場所に移動していることが可能です。
また、クルマなら道のあるところならどこにでも素早く辿り着くことが可能であり、電車や徒歩ではそのようにはいかないでしょう。
自分のペースで自由に動ける
クルマであれば朝でも夜でも好きな時間に行動を開始することができます。電車が深夜には動いていないことと比べても遥かな自由がそこにあります。
宿泊場所としても利用できる ―車中泊
失踪生活においてネックとなるのが宿泊場所の問題です。ホテルやネットカフェに泊まるとなるとお金がかかるし、野宿は安全面でのリスクがある。
だけど、自家用車があることによってそれを泊まる場所として活用することができます。雨風も凌げるし、車体というフレームがあることによって安全面もある程度保証されます。宿泊料金は自分のクルマなのでもちろん0円。
都心に近い場所ではクルマをただで夜中停めておける場所はまずないと言っていいので、クルマで失踪生活を続けるなら地方都市がおすすめです。コンビニ、スーパー、ファミレス、レンタルビデオ店、公園などの駐車場を借りましょう。
自動車で失踪生活を続けるデメリット
Nシステムにより居場所を特定されるおそれがある
主要道路や高速道路に設置されている「Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)」は走行車両のナンバープレートを読み取ることによって犯罪捜査の手がかりにするものです。Nシステムを通過した手配車両はリアルタイムでデータベースと照合され、車両の位置が特定されます。
Nシステムが犯罪捜査に活用されていることは明白ですから、失踪中のあなたが特異家出人(事件性の疑われる家出人・失踪者)として扱われている場合、クルマで移動していることによって居場所を特定される可能性があります。また、一般家出人(事件性がなく自発的に家出をしたと思われる失踪者)の所有するクルマについてはNシステムに照合されるべく情報がデータベース化されるのかどうか不明です。
いずれにしても、所有する自家用車が所有者の情報をばら撒きながら走っていると言うことはできるでしょう。
お金がかかる
クルマでの失踪には主にガソリン代がかかり、都市圏に近づけばそこに駐車料金が上乗せされます。山奥にでもクルマを停めて宿泊場所としてだけ使うのであればほぼお金はかからないでしょうけれど、暇だからとつい一日中クルマを走らせていると意外と出費がかさんでしまいます。
事故&故障のリスクがつきまとう
一番のリスクは事故と故障です。いくら慎重に安全運転していてももらい事故のリスクはゼロにはなりませんし、いくら丁重に扱っていても故障のリスクをゼロにすることはできません。往々にして置きて欲しくない時に起きてほしくないことは起こります。
なるべく人目を避けたい失踪中の身としては事故に巻き込まれて警察と顔を合わせるのは嫌なことには違いありませんし、故障によって多額の修理費を請求されるのも困りものです。移動手段あるいは宿泊場所等インフラとしてのクルマを短い期間でも奪われるのは大きな打撃になり得ます。
都会での失踪生活には向いていない
「木を隠すなら森に隠せ」と言いますが、失踪生活においては都内が最適であると感じています。人口の絶対数が多いので昼間からふらふら出歩いていても不審に思われる可能性は低いし、退屈することはないし、宿泊場所としてのネットカフェや食料も比較的安いし、至る所に店舗があるというありがたさ。
ただ、生活の拠点を都内にするならクルマを手放す必要があります。無料で停めておける場所は都内にはまずないし、駐車料金はべらぼうに高いです。
車中泊はエコノミークラス症候群のリスクがある
クルマを宿泊場所として使えば無駄な出費を抑えることができますが、寝心地は決して良くありません。私は軽自動車を所有していましたが、たった2日足らずで車中泊は断念してしまいました。
寝心地が悪いくらいなら我慢できるという人もいるでしょうけれど、大きなリスクはエコノミークラス症候群です。そもそもは飛行機に長時間同じ姿勢で座り続けることによって発症する人が多かったことからそう名付けられたものですが、日本における数々の大型地震(阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など)の後に車中泊を強いられた人もエコノミークラス症候群を発症し死亡する事例が散見されたのは記憶に新しいところでしょう。
もちろんこれはネットカフェにおいてチェアで眠る際にも言えることです。失踪中と言えども死んでしまっては元も子もないので、きちんと寝返りをうてる環境で眠ること。それが不可能であれば日中にきちんと運動をし、水分補給をしておくことが重要です。
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