失踪とは社会との関係を断ち切ることと同義ですが、社会の治安を維持するために目を光らせる警察官は失踪者にとって唯一の厄介者であると言えるでしょう。もちろん、失踪者たるあなたは犯罪者ではないので必要以上に怯えなくても良いのですが、万が一職務質問をされることとなれば面倒です。
私は2ヶ月の失踪中に警察のお世話になったり職務質問を受けたことはありません。このような短期間であれば見つかることは殆どないと言っていいでしょう。年間の失踪者は8万人を超えている上、警察にも優先すべき仕事がありますから、重大な事件性があると判断されない限りたった一人の失踪者を積極的に捜索することはまずないと断言してもいいでしょう。
職務質問の末、あなたが家出人であると判明したとしても本人の自由意志が尊重されるため拘束や強制送還をされることはありません。せいぜい、自宅に「見つかった」との事務的な連絡が行くことと、「帰ったらどうだい?」と軽く説得される程度でそこに強制力はありません。
ただ、放浪者として職務質問をされるとなると厄介であるし面倒であるしいい気分のするものでもありません。下記「警察の職務質問を避けるためにできること5選+α」を参考に自由な失踪ライフを満喫しましょう。
1. 地元住民を装う
警察が声をかけるのは不審な人物に的を絞っています。ここで言う「不審」とは、「犯罪行為していそう」「これから犯罪をしそう」という意味と考えて間違いありません。警察が傍目で見て不審かどうかを判別するためには、まずはその不審者を大衆の中から発見しなければなりません。
であれば、私たちが職務質問に遭わないためにできるたった一つのことがわかります。「目立たない」ことです。
目立たないためには環境に溶け込むこと、違和感のない行動をとることが要請されます。最も良いのは地元住民を装うことです。「この近くに住んでいる」「ちょっと買い物に出てきた」のような雰囲気を纏うことができれば警察も無闇に声を掛けたりはしないでしょう。
具体的には「コンビニの袋を片手に持ってぶら下げておく」という方法があります。
2. 観光者を装う
明らかに観光や旅行で来ているとわかる人物にも声を掛けたりはしないでしょう。失踪中は着替えや必需品を持ち歩かなければならないため、大きめのカバンを持ち歩くこととなるでしょう。警察にとっても大きな荷物を持っている者に関しては「何かを隠し持っているかもしれない」と職務質問を仕掛ける動機になり得ます。
そこで純然たる観光者を装うことが対策として挙げられます。『完全失踪マニュアル』(樫村政則、太田出版)には「ガイドマップや地図を持ち歩くこと」が推奨されていますが、片手のスマホで何でも調べることができる現在において地図などをわざわざ持ち歩いている人物はむしろ不審であるように思います。
とすれば、観光者や旅行者を装うためには、さりげなくお土産やショッピングの袋を持って歩くということが例として挙げられるでしょう。但し、荷物が増えるし、それでむしろ目立ってしまっても意味がないので必ずしも必須であるということはないように思います。
3. 夜中に出歩かない
夜中に出歩かないというのは絶対条件です。夜中にふらふらと大きな荷物を持って目的もなく歩いている人物は明らかに不審です。夜明けを待って行動するのがリスクを抑えるためにできることです。
4. 警察官やパトカーを見ても挙動不審にならない
警察官やパトカーを見て逃げ出すのは言語道断です。罪を犯していなくても「自分は犯罪者です」と言っているようなもの。目を逸らしたり、不自然に距離を置いたりするのも怪しい態度と言えるでしょう。
であれば、私たちにできることは堂々としていることです。必要以上に堂々としていること。「目的地に向かっている最中にたまたま警官とすれ違っただけのこと」と暗示をかけること。
そもそも、私たちは失踪しているだけであって犯罪者ではありません。怯えたり、挙動不審になる理由なんてどこにもないのです。
5. 清潔な格好をする
態度が不審でなくても格好が怪しければ不審人物とみなされます。大抵の場合、身なりはその人を写す鏡です。逆に、清潔感のある格好をしていれば少しくらい不審な挙動をしても目立たないということ。
服が汚れている。髪がボサボサで伸びっぱなしになっていること。男性であれば無精髭。これらは清潔感を失墜させ、不審感を醸し出す要素になり得ます。
シャワールームが利用可能なネットカフェもたくさんありますので、積極的に利用するようにしましょう。洗濯はコインランドリーが最善ですが、お金を節約したい場合はネットカフェのシャワーでついでに洗うだけでもだいぶ違います。
+α. 犯罪行為をしない
失踪は犯罪ではありません。ですが、失踪中に何らかの罪を犯してしまえば当然ながら犯罪者となってしまうのであり、警察に追われる理由を作ってしまうことになり、心理的にも必要以上におどおどした態度をとってしまうことになりかねません。
万引きや無銭飲食は言うまでもありませんが、最も気を付けたいのは自転車の窃盗です。移動手段として盗んだ自転車を乗っている最中に警察に声を掛けられた瞬間に全てが終わります。警察も自転車の窃盗には重点的に目を光らせているようで、街のあちこちで自転車乗りに片っ端から職務質問している光景を誰でも見たことがあるでしょう。
そう考えれば、犯罪をしないというのは当然としても、自転車で失踪するという行為自体がややリスクが高いものであるとみなすこともできるでしょう。
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