失踪するにあたって厄介なのがあなたの居場所を探ろうとしてくる者からの追跡です。家族、恋人、友人、上司、同僚などは携帯電話に山のような着信とメールを残すでしょうし、家族は警察に捜索願(2010年より正式名称「行方不明者届」)を届け出るでしょう。
失踪者は警察によって「一般家出人(自分の意志で失踪したと思われる者)」と「特異家出人(事件性の疑われる行方不明者)」とに区別されます。殆どの失踪者は前者の一般家出人として扱われ、警察は捜索願を受理はするものの積極的に捜索はしません。他にも多くの事件を抱えていることと、失踪者の自由意志を尊重することが理由です。
ニュースなどで事件性の疑われる行方不明者が報道されることがありますが、それは極めて稀なケースであると言えます。
で、その捜索願ですが、失踪前に仕込んでおくことによって警察に受理させなくする方法が2つあります。警察という国家権力に探されないことは失踪生活において必要以上に怯える必要がなく、自由な行動を取ることが可能になることと同義です。心理的な負担が軽くなるでしょう。下記で具体的に見ていきましょう。
1. 失踪宣言書を書き残しておく
失踪宣言書とは、自宅の目立つところに書き残しておくことであなたが「自分の意志で失踪する」ことをはっきりと表明するためのものです。失踪宣言書を作成しておくことによって3つのメリットがあります。
1. 事件に巻き込まれたのではないことを示すこと
手書きで失踪宣言書を書き残すことで、明確に自らの意志で失踪することを示すことができます。少なくとも事件や事故に巻き込まれているような危険な状態ではなく、生存が保証されていることを周囲の人間、特に家族に知らしめることができるのです。必要以上に心配をかけることがなくなります。
2. 自殺の企図はないことを示すこと
失踪宣言書の要件として「自殺の企図はないこと」を明確に示すことは極めて重要な事象です。これは家族を心配させないためでもありますが、警察に捜索されないためのものでもあります。
警察には生命の危機にある者を救出する義務と責任があります。これは第三者によって事件に巻き込まれた状態だけでなく、自殺企図者を救出することも含まれますから、はっきりと「自殺をする意志はない」ことを示すことで警察の出る幕をなさせることができます。
3. 捜索願を受理させないこと
従って「自らの意志で失踪すること」「自殺をする心配はないこと」の書かれた宣言書を残して失踪することによって、捜索願は受理されません。事件性はないし、生命の危機もないので警察が動く理由がどこにもないからです。あくまでも失踪者の主体的な自由意志が尊重されるのです。
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2. 捜索願不受理届を警察に提出しておく
捜索願不受理届を警察に届け出ておくことによって、捜索願を受理させなくすることができます。「探して欲しくない」という大きな意思表示になります。
捜索願不受理届の目的
そもそも捜索願不受理届は、例えば、家族からのDVから逃れるために家出した人が居場所を知られたくない場合など、弱者における生命の危機を回避するために用意されているものです。
捜索願不受理届を受理してもらうための要件
1. 警察の生活安全課が窓口
まずは警察に赴いて相談することとなります。多くの場合、生活安全課が対応してくれることとなるでしょう。
2. 正当な理由が必要
捜索願不受理届は何らかの書面に記入すればすぐに受理されるという単純なものではありません。そこには正当な理由が必要となります。第三者に捜索されて居場所が知られると不都合であり生命の危険があるというような理由です。前述のDVやストーカー被害などはれっきとした理由になります。
逆に、「借金のために夜逃げしている」「なんとなく一人になりたい」などの理由ではまともに対応してくれることはかなり難しいでしょう。
3. 未成年者は不可
未成年者の家出目的による捜索願不受理届は認められません。もちろん、保護者から何らかの危険がもたらされている場合は話は別です。捜索願不受理届ではなく別の対処がなされることとなると思うので、きちんと強く相談すべきです。
まとめ
つまり、本稿の論旨である「捜索願(行方不明者届)を警察に受理させない2つの方法」をまとめると、下記のようになります。
・失踪の目的が危険から逃れるためのものである場合には、警察に相談の上、捜索願不受理届を容認してもらう
・それ以外の目的である場合には、失踪宣言書を自宅に残して失踪する
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