本稿においては1ヶ月間失踪するためのプランを提案するものです。また、予算管理をきっちりとすることによって3ヶ月程度の失踪まで応用できるでしょう。
失踪はパッケージツアーではありません。百人いれば百通りのやり方を見出だせる自由奔放さが失踪の醍醐味です。とは言え、ある程度の指針がなければいきなり頓挫してしまう可能性があります。いくらサバイバル能力に長けた者でもアマゾンのど真ん中に放り出されたら手の打ちようがなく、いくら自由さが売りのマインクラフトでも操作方法がわからなければ楽しめません。
1ヶ月という期間を失踪して過ごすための最低限の指針を示すことが本稿の目的です。
クルマの有無と行き先の選定
自動車を所有しているかどうか、その自家用車で失踪をするかどうかを決めることが最初の分水嶺となります。特に行き先に大きく影響します。
クルマで失踪する場合
クルマは力強い味方ですが、時に足枷にもなります。特に都内に向かうことはやめたほうがいいでしょう。道がゴミゴミしている上に駐車料金が非常に高いです。全く落ち着かない失踪になってしまいます。
クルマで失踪するなら、田舎か地方都市へ向かうのがセオリーです。クルマに乗ったまま旅に出てしまってもいいでしょう。クルマのメリットはその機動力の高さ、そして車中泊ができるという点です。つまり、失踪期間中の大きな出費である宿泊費を浮かすことができるのです。但し、くれぐれもエコノミークラス症候群には留意しましょう。
クルマで失踪しない場合
クルマと行動を共にしないのであれば都内を目指すのがセオリーです。ネットカフェなどの手軽で低価格な宿泊施設が至る所に存在しているからです。長期滞在可能なネットカフェを活用することによって宿泊費を大きく削減(1泊1000円以下も可!)させることができます。
あるいは、予算が潤沢にあるのであれば電車で旅に出ることも可能です。田舎の無人駅であれば比較的安全に野宿もできます。自分を見つめ直したり、リフレッシュしたりするいい機会になるかもしれません。
せっかくの失踪です。一点に留まって省エネ戦略で行くも良し、せっかくだからとやりたい放題やるも良しです。
予算 ―お金は意外とすぐになくなる
お金に関して意外と見落としがちであるのが、失踪中も自宅の家賃を払い続けなければならないということです。誰も住んでいない場所の家賃を支払うのは馬鹿馬鹿しいことには違いありませんが、それを含めての失踪です。必要経費であり基本料みたいなものであると考えましょう。
それ以外にかかるお金としては、どのような失踪生活を志向するかによって変わってきます。つまり、完全にホームレスのサバイバル生活をするならゼロ円でも生きていけるでしょうし、せっかくだからと豪遊するなら何十万円ものお金が飛んでいきます。
経験者たる私が言えることは、意外とお金はすぐになくなるということです。事実、豪遊しているつもりはなくても、1ヶ月で30万円くらい減っていて大変に驚愕したのを覚えています。冷静に考えてみれば当然のことです。下記に例として1日の出費を書いていきましょう。
宿泊費:
ネットカフェナイトパック 3,000円
食費:
3食外食 3,000円
これだけで既に1日6,000円を出費しているのであり、1ヶ月で18万円です。ちょっと贅沢な食事をしたり、ビールを飲んだりタバコを吸ったり娯楽に支出したりすれば1日に10,000円の支出なんてあっという間です。加えて、前述の通り誰も住んでいない家賃を払わなければならない。
お金との付き合い方は考えどころですし、どうにでもなる部分でもあります。ゼロ円にもできるし、節約すれば安く済ますことも可能です。ただ無計画に使っていると「意外と急速に減っていく」ということだけは覚えておきましょう。その無計画に使えることが楽しいところでもあるのですが。
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失踪前の準備 ―計画と衝動と
失踪宣言をしておく
自宅に失踪宣言書を書き残しておくことで、残された家族などに「とりあえず生きていて、自殺企図の可能性がない」ことを伝えることができ、必要以上の心配をかけずに済みます。ただ、失踪宣言書は法的に何らかの効力のある文書ではなく、要するにあなたの意志を示すための単なるメモですので、書いても書かなくても構いません。
退職について
計画的に失踪するなら事前に職場に「退職する」旨や「ちょっと失踪する」旨を伝えてから失踪するのが社会人としてのマナーでしょうが、殆どの失踪は衝動的・突発的に発動されます。仕方のないことです。
但し、会社に何の連絡もせずにそのまま失踪を続けると無断欠勤扱いになるので、一般的には14日後に懲戒解雇されることとなります(各企業の就業規則によって異なる)。「失踪を続けて解雇される」と「やっぱり失踪をやめる」を天秤にかけた上で自分にとって最善策を選択しましょう。正解はありません。
失踪前に退職手続きをしておくことで、少なくとも懲戒解雇は免れることができます。私は会社からの連絡を無視し失踪を続けて懲戒解雇されたために少なくない額の退職金をもらうことができませんでした。当然の結果です。ですが、その後の就職には何の支障もありませんでした。
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持ち物 ―「財布、着替え、スマホ」三種の神器
財布(お金)
長期に渡る失踪においてはクレジットカード決済はおおよその居場所を特定され得るために使用はご法度ですが、1ヶ月程度の失踪であれば失踪から戻った後に明細が送られてくることになると思うので、気にせずにクレカ決済しても構わないでしょう。現金派は現金で構いません。
身分証明証
何かを契約する際に必要(下記に述べる携帯電話など)。万が一、警察に職務質問された際にも身分証明証を速やかに提示することによって面倒事にならずに済みます。
カバン、着替え
多すぎる衣類は荷物になるので、2日〜3日分あれば充分です。洗濯は公園などの水で洗うかコインランドリーを利用するかになると思います。予算との兼ね合いもありますが、後者のほうが現実的でしょう。
携帯電話(スマホ)
言うまでもなく失踪直後は会社や家族などから物凄い量の連絡が来るのですが、スマホ時代にあたってそれを回避する方法があります。スマホ本体は持ち、SIMは抜いて置いていってしまうのです。で、新しいSIMを出先で調達する。
こうすることによって電話、LINEに関しては電話番号が変わる(あるいは、データ通信専用SIMにすることによって電話番号を持たなくて済む)ために着信やメッセージを受信せずに済みます。他、何らかの手段で連絡が来たとしてもアプリを停止するかアンインストールすれば良いのです。
大量の着信やメッセージは失踪の意志を揺らがせる重大な脅威です。1ヶ月の失踪期間を穏やかなものにし、何者にも邪魔されないためにはそれらを受信することのできない状況にしてしまうことが賢明な手段です。
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宿泊場所 ―快適さと安全性を求めると大きな出費になる
宿泊費は積もり積もればかなり大きな出費になるのでできるだけ抑えたいところです。毎日ホテルに泊まるとなるとあっという間にご破産ですから、それよりも遥かに安い手段を選ぶ必要があります。
車中泊
クルマで失踪しているのであれば車中泊によって宿泊費をゼロ円にするという奇跡を享受できます。車中泊用マットや窓の目隠しなど、ある程度快適に眠るためのグッズを揃えるための出費をしてもいいでしょう。
ネットカフェ
安く抑えるためならロングステイコースのあるネットカフェ一択です。料金は前払いですが、滞在期間によっては一泊1,000円以下になります。出入りも自由だから、好きなだけ寝ていられる。
私はその存在を知らずに一泊3,000円近くかかるネットカフェにナイトパックで毎晩泊まっていました。何という無駄な出費だったのでしょう。
ちなみに、ネットカフェの料金に関しても地方よりも都内のほうが断然安いので、ネットカフェにインフラを依存するつもりなら都内を目指すべきです。
野宿
サバイバル力と神経の図太さがあるなら野宿という選択肢もあります。野宿も宿泊費ゼロ円という奇跡を体験できますが、快適さや安全面においてはリスクがあります。応用として、天候が良く過ごしやすい日は野宿、悪天候の日にはネットカフェという複合技を使うこともできます。
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食事 ―贅沢と節約の狭間で
食事についても宿泊費と同程度の大きな出費になり得るものです。1日3食を毎日ラーメン+餃子で過ごすとすれば、1日で約3,000円の出費、1ヶ月で食費だけで90,000円の支出となってしまいます。驚異的です。
食費における最大の節約法は自炊ですが、失踪中は自宅に戻ることができないという致命的なデメリットがあるためにどうしても支出額が大きくなってしまいがちです。カップラーメンでさえちょっと高いくらいです。
失踪中の食費節約のアイデアとして2つ挙げましょう。
・スーパーで1玉30円位のうどんを買ってきてレンチン、めんつゆをかけて食べる。
・食パンを買ってきて食べる。ジャムなどを塗ると飽きない。
ゼロ円で済ませるなら、廃棄品を漁る、炊き出しに並ぶ、奢ってもらうなどの手段があります。
警察の職務質問 ―恐れることはない
街を巡回中の警察官は怪しい人物には任意の職務質問を行いますが、余程怪しい挙動をしていない限りはされることはないと思います。私は失踪期間を含めて一度も職務質問をされたことはありません。
万が一、あなたが失踪期間中(捜索願の出されている家出人)であることが警察に発覚したとしても、何も起こりません。未成年であれば保護されその旨が両親に伝えられることとなりますが、成人しているのであれば各々の自由意志が尊重されますので、いくら警察といえども「周りの人が心配してるから帰ったらどうだい」くらいのことしか言うことができません。「嫌です」と言われればそれまでで、束縛する権利は全くありません。
従って、何か実際に罪を犯しているなら話は別ですが、必要以上に怯えたり敵意を持ったりする必要はありません。
帰還 ―ふらふらと自由に生きる
失踪から1ヶ月後、「そろそろ帰ろうかな」と思ったら帰りましょう。帰らないのであればそのまま失踪を続けるも良し。
いずれにしても、できれば両親や家族などに何らかの連絡をしておくに越したことはないとは思うのですが、そういう気分じゃないこともあるでしょう。
人生は自由です。且つ、何度でもやり直しができる。気の赴くままにふらふらとし続けるのも人生。死なない程度に自由に行きていくのが良いと思います。
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