失踪後の再就職・社会復帰についての解説と体験談

失踪後の再就職・社会復帰についての解説と体験談

 私には2ヶ月間の失踪経験があります。2年半勤続していた新卒入社の会社をバックれたのです。就業規則には「2週間連続の無断欠勤は懲戒解雇とする」旨が記載されていたようで、果たして私は懲戒解雇となりました。

 貯金が減っていくのが恐ろしくなり自発的に帰宅したことで2ヶ月の失踪生活に終止符が打たれました。そこから半年間実家で療養(つまりニート)の後、ハローワークで見つけた求人に応募し、スムーズに再就職することができました。

 失踪は犯罪ではありませんので、社会復帰にあたって怯える必要はありませんし、障壁になるものも特にはありません。本稿においては「失踪した後の再就職や社会復帰」について私の経験を交えながら解説していくものです。

 

はじめに:失踪は犯罪ではない

 失踪とは社会生活から無責任に逃れる行為です。社会人に問われる最大のものの一つに責任感がありますから、失踪という行為をした者は社会人失格との烙印を押されても仕方のないことでしょう。

 また、失踪と無断欠勤とは切っても切り離せない関係であり、退職の手続きをしないままに長期間(おおよそ2週間以上)の失踪をしてしまうことにより、懲戒解雇処分は免れません。懲戒解雇(公務員の場合は懲戒免職)は会社が従業員にし得る最も重い罰です。

 しかし、です。私たち失踪者にとっての福音は「失踪は犯罪ではない」ということです。例えば、自動車運転におけるスピード違反は立派な犯罪であり国家による罰則が求められますが、日本において失踪を罰する法律はありません。失踪経験者は確かに社会人失格かもしれませんが、その罪を背負って行きていかなければならないというほどのことでもないのです。

 人生のすごいところは何度でもやり直しができるところです。人生ほど甘いものはないという考え方もあります。たかが失踪くらいで肩を落とす必要はありません。私も失踪経験者ですが、こうしてのうのうと生きています。

 

再就職に当たっての懲戒解雇の影響力

 さて、失踪によって懲戒解雇されてしまったという人は、この懲戒解雇という極めて重い罰とどう向き合えばいいのかと悲壮な思いを抱えているかもしれません。しかし、全く問題ありません。私事ですが、何事もなくすんなりとハローワークを介して再就職することができました。

 懲戒解雇における重要なポイントを下記にまとめておきます。

 
・離職票には「重責解雇」と銘記されているけれど、前職で懲戒解雇された事実は個人情報保護法によって志望企業に知られることは決してない。ハローワーク職員が漏らすことも絶対にないし、志望企業が前職に問い合わせることも違法行為。

 
・「重責解雇」であっても失業手当は受給できる。給付要件は「自己都合退職」に準じるから、申請後3ヶ月間の待機期間が設けられる。

 
・履歴書に「懲戒解雇」と書くべきかどうかについては様々な意見があるけれど、個人的にはわざわざ書く必要はないと考える。再就職にあたって圧倒的に不利になるし、面接においても上手に受け答えすれば嘘を付くことにはならない。第一、懲戒解雇はイチ企業からの単なる私的制裁に過ぎず、履歴書に記載しなければならない義務はない。

 
・懲戒解雇の場合、前職から退職金を貰うことは極めて難しい。退職金は労働の対価としての給与とは別に、完全に企業の善意で支払われるものだからである。

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 ちなみに私は履歴書には「一身上の都合により退社」と書き、面接においても懲戒解雇や失踪の件には触れずに乗り切り、晴れて内定を勝ち取りました。その会社も1年半後には逃げるように去ることになるのですが、同様の要領で再び就職することができています。

 

再就職以外の道

 殆どの人はどこかの企業に再就職することとなると思いますが、就職だけが人生ではありません。もし、組織の中で生きていく事自体に疲れてしまって失踪という道を選んだしまったのなら、同じ過ちを繰り返さないためにできることが何かあるかもしれません。

 再就職をするにしても自分にとってストレスにならない環境を最優先に仕事選びをすることもできます。高い給与や綺羅びやかな職場に惑わされることなく、低い給与でも過ごしやすい環境に身を置くという英断が二度と失踪を繰り返さないためになることもあります。

 また、就職せずともフリーランス(個人事業主)として生きていくという選択肢もあります。安定した収入を得るためには努力と知恵が必要になるとは思いますが、対人ストレスは圧倒的に減ります。私は過去の失踪体験やそれ以降の社会人生活を鑑みて「組織で仕事をすることに向いていない」という結論に達し、将来的にはフリーランスとして生計を立てていくために試行錯誤をしている最中です。

 
 千人いれば千通りの人生があります。「何で自分は他の人と同じようにできないのだろう」と悩むことがあるかもしれません。ですが、それは立派な個性です。失踪を推奨するわけではないのですが、私にとっては2ヶ月の失踪期間は沢山の人に迷惑をかけたことは反省していますが、自分と自分の人生を見つめ直すためのかけがえのない時間になったと実感しています。

 失踪する勇気があるなら何だってできる。それくらいの気持ちでこれからの人生を生きていくくらいでちょうどいいと思います。

また、あなたが現在身寄りなく生活の存続に困っているなら「失踪中にお金に困ったら試したい方法5選」もご覧になってください。きっと悩みを解決する助けになりますよ。

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